家族性LCAT欠損症 Q&A
- LCAT欠損症は、どのぐらい急いで治療をしなければいけないですか?
- LCAT欠損症とはLCATが体で作りだせない状態で、そのために善玉コレステロールが20mg/dL未満(※1)になるばかりでなく、貧血になったり、眼が白く濁ったり、腎臓が正常に働くことができなくなったりします。
できる限り早く専門医と相談されることをお進めします。 - 何か月ぐらいで、どのような症状が出てくるの?
- 症状の出方は個人差があると思われます。今までの研究では、目が白く濁るのは幼少期から、尿にタンパクがまじるのは青年期以降と言われていましたが、最近では幼少期から尿にタンパクがまじるとの研究も発表されています。
- LCAT遺伝子導入ヒト前脂肪細胞による治療を受ける場合、その費用は?
- 千葉大学がこの度臨床研究で実施するLCAT遺伝子導入ヒト前脂肪細胞による治療について費用は、かかりません。治療費について
- コレステロールって低ければ良いのではないか?
- コレステロールは、主に肝臓で作られて体のすみずみへ運搬するリポ蛋白と使い切れずに余ったコレステロールを肝臓へ運ぶリポ蛋白の大きく2つに分かれ、前者を悪玉コレステロール(LDL-コレステロール)、後者を善玉コレステロール(HDLコレステロール)と言います。
前者はもちろん低い方が、体に良いのですが、後者の値が低いのは、コレステロールを排泄する体の機能がうまく働かない状態です。
特にLCATが体で作り出せないようなLCAT欠損症の場合は、20mg/dL未満(※1)という値を示します。 - 悪玉コレステロール(LDL-コレステロール)とは、血中中性脂肪(トリグリセリド)とはなんですか?
- 悪玉コレステロールとは、肝臓で作られたコレステロールを体のすみずみへ運搬する、リポ蛋白LDL(エルディーエル)コレステロールのことで、過剰に運び込んだ場合、体にコレステロールが溜まってしまうことから、悪玉と言われています。
血中中性脂肪(トリグリセリド)は、血中の中性脂肪のことで血液検査の際、よく耳にされると思います。血中中性脂肪(トリグリセリド)が高いと動脈硬化との関係を注意する必要があります。 - コホート調査?
- 特定の因子、例えばHDLコレステロールが高い集団と、逆に低いHDLコレステロールの集団を一定期間追跡し、脳や心臓の病気の発生する率を比較する、要因と病気の発生の関連を調べる観察的研究のことをいいます。
- 動脈硬化性疾患とは、また冠動脈疾患とは?
- 動脈硬化とは、動脈が硬くなり、血液の流れ道である血管の中が狭くなったりすることで、血液が流れづらくなる状態で、それによって引き起こされる病気を一般に動脈硬化性疾患と言います。
中でも特に心臓に栄養を送っている冠動脈が詰まった場合におきる心筋梗塞に代表される冠動脈疾患、脳に栄養を送っている動脈が詰まった場合におきる脳梗塞などの脳血管疾患が知られています。 - P=0.007のP値とは?
- P値は「有意水準」と言われ、ある群とある群を比較するときに、その群をある因子や数値で表現されているとき、2つの群が違う(差がある)ものであるかどうかを表現するために用いられる統計学的数値です。P値が小さいほど2つの群の差が大きいと考えられます。
- HDL-コレステロールと脳卒中のグラフの見方がわからない。
- HDL-コレステロールが高い群(≧60mg/dL、基準群)と低い群(<30mg/dL)では、低い群の方が脳卒中を発症する率がおよそ3倍高い、つまり発症する危険が3倍になるという見方が出来ます。
- 遊離コレステロールをエステル化するとはどういうこと?
- コレステロールは、エステル化された状態または非エステル化の状態で体に存在します。エステル化されたコレステロールは油としての性質が強くなり、悪玉LDLや善玉HDLの中心部に存在する性質を持っています。遊離コレステロールとは非エステル化の状態を指します。エステル化されていないコレステロールは、水と油の両方の性質を持っており、細胞の膜の表面や悪玉LDLや善玉HDL表層にあります。
- 家族性とは?
- 遺伝する可能性があるということです。
- 何歳ぐらいの人に多い病気ですか?
- LCATが作ることができないために発症する病気ですので、幼少期から症状が現れる方もいます。
- 性別の割合は?
- 今のところ両性に現れます。
- 何人に一人の割合ですか?
- 百万人に一人と言われていますが、十分な調査は行われていません。
(※1) 厚生労働省から2015年7月1日難病指定された時点では、LCAT欠損症の診断基準は、HDLコレステロールが10mg/dL未満となっていますが、以降HDLコレステロールが10mg/dL~20mg/dLである患者さんでも、LCAT欠損症と診断された方々がいらっしゃいます。