日本語English

創薬シーズ:脂肪細胞を用いた遺伝子治療の技術開発と細胞医薬品開発

セルジェンテック株式会社は、ヒト脂肪組織を用いて、治療タンパク質を安定持続的に供給するため、そのタンパク質を産み出す遺伝子を組み込んだヒト脂肪細胞の開発に取り組み、それを実現する性能を有する「遺伝子導入(加工)ヒト脂肪細胞」の調製(GMP製造)に成功しております。 セルジェンテック株式会社は、多くの難病に対して、当社の汎用性の高い技術を応用し、多くの難病治療用加工脂肪細胞医薬品の開発を進め、多くの難病患者様のQOLに寄与し医療貢献をはたします。

疾病治療蛋白分泌脂肪細胞による難病治療のコンセプト

遺伝子導入標的細胞としての脂肪細胞の優位性

遺伝子導入する標的細胞は、治療目的遺伝子の導入によって治療蛋白が安定した発現がなされることのみならず、生体から細胞や組織を摘出する際の侵襲性、調整した細胞が高純度であること、遺伝子導入によって細胞が変化しないことなど様々な要件を満たすことが必要です。脂肪細胞は、遺伝子治療で求められる標的細胞として優れた資質を有していることが解明されてきました。

脂肪細胞を用いた遺伝子治療技術の優位性

  1. 狙った細胞に確実に遺伝子を入れられる
  2. 治療に見合う量の蛋白を産生させることが可能か
  3. 効率よく遺伝子を細胞に入れられるか
  4. 導入遺伝子は安定に保持されるか
  5. 狙っていない細胞への遺伝子導入を避ける
  6. 遺伝子を導入した細胞が持つ本来の性質を損なうこと(脆弱化/癌化)が回避されるか
  7. 長期安定した持続分泌が可能か(遺伝子治療の期待される効果)

↓

脂肪細胞を用いた遺伝子治療技術

  • 高純度に脂肪細胞が単離・培養でき、確実に治療目的遺伝子を導入し、疾患治療蛋白の発現量が確認できる
  • 高陽性率が確保できる
  • 導入遺伝子は、安定保持される
  • 脂肪細胞が癌化するリスクは低く、遺伝子導入脂肪細胞でもがん化は確認されていない。また脆弱化もない
  • 脂肪細胞は接着性細胞であり移植後、他の組織への移行の可能性は低い
  • 脂肪細胞の寿命は長く、安定持続した治療蛋白の補充が可能

これまでの研究成果(薬効薬理)

1.糖尿病マウスへのインスリン遺伝子導入脂肪細胞の移植および移植部摘出

糖尿病マウスへインスリン遺伝子導入脂肪細胞を移植し、長期持続した血糖値の改善を認めました。また移植部を摘出することによってその効果が消失することを認めました。

ヒトインスリン遺伝子導入マウス脂肪細胞による血糖管理

STZ糖尿病モデルマウスの血糖値推移と移植部摘出による効果消失

<図>STZ糖尿病モデルマウスの血糖値推移と移植部摘出による効果消失

2.正常マウスへLCAT遺伝子導入脂肪細胞を1回移植した後の血中LCATの分泌

正常マウスにLCAT遺伝子導入脂肪細胞を移植し、血中へのLCATの安定した持続分泌を認めました。

LCAT遺伝子導入増殖型脂肪細胞製剤の性能

<図>糖尿病マウスへのインスリン遺伝子導入脂肪細胞を1回移植した後の血糖値の推移

実用化へのシナリオ

脂肪細胞を用いた遺伝子治療、「遺伝子治療用脂肪細胞の自家移植プログラム」の実用化にあたり、当社では次の観点から開発パイプラインを設定しています。

実用化へのシナリオ ~開発パイプライン:希少疾病から生活習慣病へ~

先天性代謝異常疾患から生活病

細胞治療ガイドラインに沿った疾患より着手し、生活習慣病や動脈硬化性疾患、がん疾患、退行性変性神経疾患への応用をはかります

<図>先天性代謝異常疾患から生活習慣病

(参考)遺伝子治療ガイドライン(要約)

遺伝子治療対象疾患/希少疾病(特定難病疾患)および生命危機・機能障害の恐れのある慢性疾患患者への適用
遺伝子治療臨床研究に関する指針要約(2002年3月27日)

定義

遺伝子治療とは、疾病治療を目的として遺伝子もしくは遺伝子導入細胞を人の体内に投与すること。

対象疾患

  1. 重篤な遺伝性疾患、がん、後天性免疫不全症候群その他の生命を脅かす疾患または身体の機能を著しく損なう疾患であること。
  2. 遺伝子治療臨床研究による治療効果が、現在可能な他の方法と比較して優れていることが十分に予測されるものであること。
  3. 被験者にとって本研究により得られる利益が不利益を上回ることが十分に予測されるものであること。